2006年8月16日

厚生労働大臣
川崎 二郎 様


      障害者自立支援法の早急な見直しを求める緊急要望


 今年4月からの「障害者自立支援法」の施行の影響は全国の障害者に大きな波紋を生み、今後の支給決定や新しいサービス体系への移行の中で、重度障害者の地域生活を後退させ、施設から地域への流れが止まってしまうのではないかとの不安がさらに広がっています。
 「自立支援法」は「障害者が普通に地域で暮らせる社会に」「もっと障害者が働ける社会に」という方向が示されていますが、それとは異なる状況が生み出されてきており、制度設計が妥当だったのか冷静な検証が求められています。
 同法は3年後の見直しが明記されていますが、それまでの間にサービス利用や生活が継続できなくなる事態が相次ぐのではないかと懸念しています。そうした点から、以下の点について、早急な検討を行うことを求めます。

(1)利用者負担の影響実態調査を行い早急な見直しと所得保障の確立を
 4月からの利用者負担の見直しは、重度障害であればある程重い負担となり、サービス利用をあきらめたり、働く意欲を減退させたりという状況をもたらしている。国として利用者負担の影響実態調査を行い、早急な見直しを行うこと。
  また、「自立支援法」の附則に明記された「所得確保」に関して早急な検討を行い、所得保障を確立すること。

(2)障害程度区分の根本的見直しと障害者のニードに基づいた支給決定を
  現在の障害程度区分の認定項目は介護保険の79項目をベースにしており、障害特性やニードを十分反映したものとなっていない。そのため、知的や精神障害、全身性障害等でも脳性マヒや骨形成不全等は低い程度区分が出る傾向がある。
  障害程度区分の根本的見直しを行い、障害特性やニードを十分考慮したものとし、特に、障害者の地域生活の状況を反映したものとすること。「できる、できない」ではなく、「どのような支援が必要か」という視点からの検討を行うこと。
  また、障害程度区分で画一的にサービスの利用制限を行うのではなく、障害者一人ひとりのニードに基づくサービス支給決定の仕組みとすること。

(3)補正予算も含めた予算確保、施設・病院からの地域移行のためのサービス基盤整備
  今後、各自治体で介護給付等のサービスの支給決定がなされるとともに、移動支援事業やコミュニケーション支援、相談支援等を含む地域生活支援事業が進められることになる。その際、各市町村でサービスに実際に要した費用の2分の1を国が負担・補助すること。そのため国庫負担基準の見直しや地域生活支援事業の大幅な予算充実を行うとともに、今年度についても補正予算等で対応を行うこと。
  また、今後、施設・病院からの地域移行等を盛り込んだ障害福祉計画が検討されていくことになるが、地域移行が着実に進むよう、地域生活サービス基盤整備を重点化した予算確保を行うこと。


要 望 団 体
社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長   小川 榮一
日本障害者協議会 代表   勝又 和夫
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長   三澤 了
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長   笹川 吉彦
財団法人 全日本聾唖連盟  理事長 安藤 豊喜
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 理事長 妻屋 明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原 治
財団法人 全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松 正泰