150 参議院経済・産業委員会 2000/11/16

○50回-参-経済・産業委員会-04号 2000/11/16

平成十二年十一月十六日(木曜日)
   午前十時七分開会

  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 紀文君
    理 事
                保坂 三蔵君
                山下 善彦君
                円 より子君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                加納 時男君
                倉田 寛之君
                陣内 孝雄君
                畑   恵君
                真鍋 賢二君
                吉村剛太郎君
                足立 良平君
                平田 健二君
                本田 良一君
                藁科 滿治君
                但馬 久美君
                山下 栄一君
                西山登紀子君
                水野 誠一君
                渡辺 秀央君
   国務大臣
       通商産業大臣   平沼 赳夫君
   政務次官
       大蔵政務次官   七条  明君
       通商産業政務次
       官        伊藤 達也君
       運輸政務次官   実川 幸夫君
       自治政務次官   荒井 広幸君
       金融再生政務次
       官        宮本 一三君
       総務政務次官   海老原義彦君
   政府特別補佐人
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   政府参考人
       内閣官房内閣内
       政審議室内閣審
       議官       宮城  勉君
       内閣官房内閣内
       政審議室内閣審
       議官       壺井 俊博君
       内閣官房内閣内
       政審議室内閣審
       議官       古田  肇君
       警察庁長官官房
       審議官      上田 正文君
       警察庁生活安全
       局生活安全企画
       課セキュリティ
       システム対策室
       長        坂   明君
       金融庁総務企画
       部審議官     藤原  隆君
       総務庁長官官房
       審議官      藤井 昭夫君
       総務庁行政管理
       局長       坂野 泰治君
       経済企画庁国民
       生活局長     池田  実君
       文部大臣官房審
       議官       玉井日出夫君
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       厚生大臣官房統
       計情報部長    金子  洋君
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       通商産業省機械
       情報産業局長   太田信一郎君
       労働省労働基準
       局長       野寺 康幸君
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
       自治大臣官房総
       務審議官     林  省吾君
    ─────────────
 
○西山登紀子君 十分に私は慎重に行うべきだということを再度申し上げまして、別の角度からお聞きをしたいと思います。
 次に移ります。
 情報通信技術の発展は、障害者、高齢者の社会参加、それから自立に新しい可能性を与えております。こうした方々こそITの発展の成果を活用できるようにするのが政府の責任だと思いますし、障害者というのはいつだれが障害者になるかわかりません。すべての国民の課題だと思います。
 
現在、障害者には、日常生活用具として電動タイプライターやワードプロセッサーが支給の対象になっているんですが、パソコンが対象になっていないんです。これは、障害があるからこそ、このIT機器が社会参加や自立のために極めて有効に働くということはもう論をまちません。ぜひ対象にしていただきたいと思うわけですね。
 この点は、衆議院のIT基本法の参考人質疑で出席をされました全国障害者問題研究会の薗部英夫氏も訴えたところでございますけれども、これはぜひ早急に実現をしていただきたいと思うんですが、厚生省、いかがでしょうか。

○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘の日常生活用具給付等事業でございますが、これは重度障害者の方々が日常生活をより円滑に営まれますようにということで用具の給付を行う事業でございます。
 給付品目につきましては、当然、障害者団体などの御要望をお聞きするとともに、その必要性というものを総合的に勘案しながら改善にこれまで努めてきたところであります。
 
パソコンにつきましては、それ自体が汎用性があるということと、障害があるがゆえに必要となる用具であるという位置づけが必ずしも明確にできがたいということから、この給付事業として給付することはなかなか難しい現状にあることをぜひ御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、障害者の情報格差の解消というのは大変大事なことだということも私ども認識いたしております。今年度の補正予算におきまして、
全国五千カ所の障害者の施設に、障害者が容易に利用できる障害者用パソコン、例えば視覚障害者用であれば音声が出てくる、あるいは身体障害者用であればジョイスティックでこれが操作できる、そのような障害者用のパソコンというものを配備いたしまして、在宅の障害者が利用できるようにするための事業、この経費を計上いたしているところであります。
 いずれにいたしても、障害者が情報通信の利便を享受できる環境づくりにこれからも努めなければならない、このように考えております。

○西山登紀子君 厚生省も、従来の考え方からやっぱり飛躍をしていただかなければならないと思います。今IT革命、政府が言っているんですからね。
 
多機能だから日常生活用具に支給しないというのは、これは本当におかしな話でございまして、障害者の完全参加と平等というのは、これは政府がやっぱり目指しているものでもございますし、先ほど大臣、このIT機器の福音といいますかそういうメリットはすべての国民がやっぱり享受しなきゃいけないとおっしゃったばかりですから。省庁が違うということじゃなくて、ぜひこういうのは政府全体として進めていただかなくちゃいけない課題ではないかと思うんです。従来を引きずるんじゃなくて、今はやっぱり飛躍をするときじゃないかと、そういうことを申し上げたいと思います。
 それで、このテーマについて大臣にお伺いしますけれども、通産省が本年の六月に障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティー指針というものを出していらっしゃるんですね。これは私も大変勉強させていただきまして、いいことをやっていらっしゃるなというふうに思いました。先ほど御紹介しました衆議院の参考人の薗部さんも大変力作だと評価をされているんですね。この評価をされた指針が本当に有効に働くようにぜひ大臣の御決意を伺っておきたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) 西山委員からも評価をしていただいて、ありがとうございます。
 近年、IT革命の進展に伴いまして、健常者のみならず障害者、高齢者等がITを活用して社会経済に積極的に参画することが重要となっているわけであります。こうした認識のもとで、通商産業省では、障害者、高齢者等が容易に利用できるような情報処理機器の基本仕様などを盛り込んだ障害者・高齢者等アクセシビリティー指針を平成二年に策定し、その後の情報技術の進展に応じて本年六月に改定をいたしたところであります。
 通産省といたしましては、本指針の普及を図るために、当省や関連業界団体のホームページへの掲載、各種展示会での広報、パソコンメーカーの開発者向けの具体的な解説書の作成等を通じて、指針に準拠した情報機器の開発を積極的に促しているところでございます。
 さらに、本指針の実効性を高めるために、これまでの普及策に加えまして、指針で規定している各種機能の標準化、機器開発等の支援、障害者、高齢者等を指導する者への研修カリキュラムの策定等を行うことにしておりまして、平成十二年度補正予算におきましては十五億円計上させていただき、加えて平成十三年度概算要求において十億円の予算を要求しているところであります。
 先生御指摘のとおり、非常にこれは大切なテーマと、こういうふうに思っておりますので、こうした施策を通じましてアクセシビリティー指針の普及をさらに促進して充実を図ってまいりたい、このように思っております。

○西山登紀子君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 (略)

○山下栄一君 
 IT基礎技能講習という制度を今回、自治省が各自治体に特例交付金を配付して行うという、そういうことが提案されております。非常に重要な提案だと思うわけでございますけれども、これは五百五十万人をめどにしているというふうに言われているわけですけれども、この五百五十万人というのも大変な数でございます。自治体がこれに自主的に取り組むわけでございますし、行われる場所もそんなにたくさん、各市においても数万人の方々が取り組めるところがあるのかという具体的な疑問も私は聞いておるわけでございます。どういうところで実施して、またこの五百五十万人に向けてのさまざまな配慮、特に基礎技能講習ですから私なんか最も早く講習を受けなければいかぬかもわかりませんけれども、まず国会議員みずからが、そういうITにふなれな方、私自身なんかそうですけれども参加するとか、これは国民運動としてやるためには非常にさまざまな国としても支援が必要であるというふうに思うわけですけれども、特にお年寄りや障害者の方やそういう方にも積極的に参加していただくということに私は意義があるというふうに思うわけでございます。
 この交付金がどのように配分され、どのような形で各自治体が実施していくのか。実施場所はどうか、また多くの方が参加できる工夫はどうするんだということをお聞きしたいと思います。

○政府参考人(林省吾君) お尋ねをいただきましたIT講習事業につきましてお答えを何点かさせていただきます。
 補正予算で御審議をお願いいたしておるわけでありますが、御指摘の情報通信技術講習推進特例交付金は、住民の方々のIT基礎技能の早期普及を図りますために、現在も地方公共団体が実施しております講習会の拡大を飛躍的に図る、またそれを支援するという目的で都道府県に対して交付することを考えているものでございます。
都道府県は、この交付金によりまして講習事業を実施するほか、市町村が講習事業を実施する場合には都道府県から市町村に補助金を交付してその財源的な支援をする、こういうことも考えております。
 なお、お尋ねのございましたIT講習の実施場所でございますが、小学校、中学校、高等学校あるいは庁舎、公民館、図書館、博物館その他地方公共団体の施設のほかにも、大学、短期大学あるいは民間施設等を想定いたしているところでございまして、現在文部省の御協力もいただきながらこれら施設での供給可能性等について詰めているところでございます。
 なお、御指摘ございましたように、
この交付金によります受講可能人員は約五百五十万人程度を想定いたしておりますが、現在の検討状況ではこのうち約八割程度は先ほど申し上げました小中高等学校等の教育関係施設で提供が可能になるものと考えているところでございます。
 それから、講習の具体的な内容についても御質問をいただきました。今回の講習は基礎技能の講習ということでございますので、住民の方々がITの基礎技能を身につけるために必要な基本的なものを対象にしたいと考えておりますが、パソコンの基本操作、ワープロ文書の作成、インターネットの利用及び電子メールの送受信を内容とするもので、十二時間程度の講習を想定いたしているところでございます。もちろん、このIT講習推進特例交付金は、このような講習の開催等これに必要な事務の実施に要する経費の全額を対象として交付したい、こう考えております。
 なお、また御質問の中で、できるだけ多くの皆さん方にこの講習を利用していただきたいということを私どもは考えておりまして、基本的には交付金を交付いたしました各県におきまして協議会を設けていただき、市町村あるいは民間団体、あるいは教育関係団体と御協議の上で、県内のできるだけ多くの施設を利用しながらできるだけ多くの希望者の方々に講習の機会が与えられるようお願いをしたいと考えております。
 特にそのうち、御指摘のございましたお年寄りあるいは障害者等につきましても、私どもは広く国民の方々にこの講習機会を御利用いただきたいと思っております。特に高齢者の方々が利用しやすいような講習内容となるよう、それぞれの県あるいは市町村において配慮されることを期待もいたしておりますし、また障害者の方々につきましても、障害者対応の機器やソフト等を使用していただく等の配慮が適切になされる必要があると考えておりまして、事業主体であります地方公共団体におきまして、障害者が容易に使用できる情報機器が配備されております障害者関係施設を活用する等、工夫していただくことを期待しております。
 また、できる限り身近な場所で講習が受けられるようにということも考えておりまして、
文部省との連携によりまして、学校のコンピューター教室等を活用させていただきたいということで、過疎地域等におきましても小学校等におきまして適切に講習の機会が開催されるよう各都道府県にお願いをしながら配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。


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