田圃とリムジン


94/01/05 23:34:29 NGI00001 <中>

殿様内閣は日本の農業を売った。
戦後、農村を基盤としながら政権を維持してきた自民党にはできないことを
みごとにやってくれた。
さっそく買い込んだタイ米にカビが生えていたというのは
じつに必然的な「皮肉」だが、農村の中年たちははさめている。

20数年前、わたしの故郷では「本百姓」といえば田圃を2町歩もっていることだった。
2ヘクタールあれば稲作だけでなんとか農業一本でやれたようだ
(わが家にはそんな土地もなく、歴代、といっても祖父ぐらいからだが
農協職員、父は鉄道員といわゆる兼業農家の典型だった)

さて、その2町歩以上をひきつがざるを得なかった友人が言うのだ。
彼は工学部をでた機械の設計技師でもある。
村の自主的な消防団のリーダーだ。

「そうさな、いまじゃ、10町歩あっても米だけでは食えないな」
「だって、刈り取りのコンバインだけでいくらするとおもう。3百万だよ。3百万円!」
「それを一年のうちに何日使うとおもうよ」
「4日だな。オレが使うのはたった4日だよ!!」
「オレはその頃になると朝早く起きて稲刈りして、それから会社に出かけていく」
「そうさな、3百万なら外車の「リムジン」が買えるベ」
「コンバインの上で、タバコふかしてさ、
 オレは「リムジン」にのってんだぞ!
 そんなきもちでないと、ばからしくて、やってられっかい!」

沼の隣に住んでいた彼も、
某私立大学の用地に買収された「本百姓」たちの「代替地」として、
5反ほど土地を売った、とボソっといっていた。

この彼は、「できるだけしかやれなかんべよ! あとは減反だ」といい、
「自分たちで食べるだけしか米なんかつくんないんだ」といっていた。

故郷の茅葺き屋根の家は近代的な家に、この20年で建て変わった。
だれもがそれぞれ白い大型の自家用車をもち、
スナックでは外国人をはべらせ、カラオケを歌う。
嫁さんはけっして水田には入れない。

そしていま村には大手ゼネコンの子会社による
工業団地開発プロジエクトが展開されている。


イメージ前に戻る