土を売る


94/01/06 20:56:47 NGI00001

ガイア計画という構想があるらしい。
足尾の鉱毒で汚染された地帯を、いっそそれなら、
産業廃棄物をそこに捨てて、その上に土をもるなり、ふたをしてしまえ!
というような乱暴な計画らしい。
ガイアというギリシャの女神もいい迷惑だし、
「臭いものにはふたをすればいい」というようなこの国の「思想」をみるおもいがした。

足尾の山から流れ出ている川が渡良瀬川となり、わが故郷の北側を流れる。
お袋がいいだしたのは、絶望的なおぞましい話だった。
「土地は売ってはいないが、最近は”土を売る”ところがふえた」
どういうことかと聞けば、
親父が、
「田圃の土をどんどんほれば、土がでてくる。
 そのうち砂が出れば、レキもでる。大きな穴があくわけだ。
 そこにダンプがやってきて、産業廃棄物を埋める。
 あっという間にそこは埋まり、その上に、
 一番上にあった野菜でもとれそうな土を、
 そうさな、、、1メートルくらい盛るんだそうだ。
 残りのいい土は、どこかにまた売るらしい」

そんな田圃の持ち主が3軒つづいた。
20数年前に「六化クロム」という合成物質が、
新興住宅地の地下にいろいろなものといっしょに埋められて、
猛毒を発したという事件が江東区であった。
あのときはそうした廃棄物の上に住宅が建てられたわけだけど、
今度のそれは、さらに不気味だ。

しかし、こうした話を数年前のTVがアメリカの大規模農業の話のなかでしていた。
潅漑施設でなんとか作物をつくっていたところが、
塩害などで作物が育たなくなるため、すこしでも肥沃な土をもとめて山を崩す。
そして山は崩され、洪水が起こり、肥沃な土は流され、そしてまた山を崩し、、、
どんどん「砂漠化」が広がっているという話だ。

そのアメリカから「安く、うまく、安全な」米が将来に渡って輸入できる保障など
どこにもない。

百姓が土を売る。
そんな国に未来は、、、、ない。


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