情報アクセス、コミュニケーションは現代の人権



 現在国連は、社会開発委員会を通して、「障害者の機会均等に関する基準規則」(1993年12月、国連総会採択)の実施をはかるため、各国に対してモニタリングを実施している。6つの国際障害者団体による「専門委員会」が組織され、規則のうち6項目に重点がおかれるが、その第一が「アクセシビリティ」である。すなわち、「どのような種別の障害を持つ人に対しても、政府は、情報とコミュニケーションを提供するための方策を開始すべきである」の具体化である。

 その意味で、1995年5月、郵政省の電気通信審議会が「情報アクセス、情報発信は新たな基本的人権」と明快にうちだしたことは評価されよう。情報にアクセスできること、情報を発信し、コミュニケーションできることは現代の新しい人権である。その権利は、知的な障害をもつ人々も含めて、すべての障害者に保障されなければならない。障害者にやさしい機器はだれもが使いやすいものである。そして、障害をもつ人に良い社会は、万人のためにも良い社会であるからである。

 そのためには、まず、96年に各市町村で作成される「新長期計画」に、「情報アクセスは基本的人権」という水準を割り引くことなく徹底することが大切である。

 そして、日本障害者協議会が作成した「新長期行動計画」の以下の点が肝要であろう。
1)すべての障害者が社会的な情報にアクセスできるため、文字放送の普及、手話通訳の配置。行政、マスコミ等の公共的な電子情報の公開と情報提供サービスの充実。
2)日常生活用具に、「自立と社会参加のコミュニケーション機器」として、パソコン及びソフト、通信モデム等の助成枠の拡大。
3)コミュニケーション福祉機器に関する地域での人的なサポートシステムを総合的に確立する。とくに在宅障害者および高齢者に対する援助活動を各省庁連携のもとに確立する。

             薗部英夫  日本障害者協議会ネットワーク通信委員長


「高齢者・身体障害者の社会参加支援のための情報通信の在り方に関する調査研究会」
 バリアフリー部会 は
 主査 清原慶子(ルーテル学院大学)
 主な委員は、
  大島真理子(シニアライフアドバイザー)
  大槻芳子(全日本ろうあ連盟)
  高村明良(筑波大学附属盲学校)
  竹中ナミ(プロップステーション)
  山崎泰広(アクセスインターナショナル)
   など。