学生無年金障害者 東京訴訟 東京地裁判決 2004.3.24
学生が国民年金に任意加入だった時期(1991年4月以前)に、
20歳をこえてけがや病気などで障害を負ったとき、
「国民年金に加入していなかった」ことを理由に、
国は障害基礎年金を支給することを拒んできました。
その障害基礎年金を受給できない人たちが「学生無年金障害者」といわれ、
30人が全国の9地裁に訴訟しています。
・学生無年金障害者訴訟ニュース
判決前の様子
第一報 勝訴!! 13時30分
第二報 訴訟4名の内 一人は全面勝訴、他の3人は国家賠償法適用! 勝利報告集会へ移動中 13時40分
第3報 報告集会の横断幕も興奮気味 14:15
第4報 満員の勝利報告集会 14:20
第5報 特派員報告 14:37
全面勝訴の岡村さんは20歳前の発症が認められました。
年金が支給されるという全面勝訴です。
残こる三人は年金支給ではありませんが、
国家損害賠償として一人500万円が認められました。
裁判官は、「年金保障以外の方法もある…」とのべつつ、
「でも国が間違いだった」と高らかに宣言されたそうです。
そのことを大きな確信にしよう!
今後はつづく8つの地裁裁判も勝利を勝ちとって、国保制度の改正を…
と語っているところです。(新井田恵子)
全国弁護団の声明の一部 14:52
「判決は無年金障害者を20年の長期に渡って放置してきた国の責任を断罪したものであり、
憲法に定めた生存権をはじめとする基本的人権に基づく重要な判決」。
■他のメディアの報道
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無年金障害者の救済策協議へ
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(記者)
大臣、無年金障害者の件に戻るのですけれども、裁判の方はどのような対応をされるおつもりですか。
(大臣)
これはもう少し時間を頂戴したいというふうに思っております。法務省、あるいはまたその他の省庁ともご相談申し上げなければならないことでありますので、厚生労働省だけでなかなか決定できないこと等ありますから、よく内容も吟味しながら決定したいというふうに思っております。
(記者)
年金法案の審議入りを前に、江角さんの問題、それから無年金障害者の裁判の結果の問題と、二つ年金に関することが出ているのですが、大臣の今の率直なお考えをお伺いしたいのですが。
(大臣)
大事な大きな問題を控えておりますし、早く本格的な議論に入りたい。そして年金の議論というのは人生百年の計でありますから、しっかりとした議論をするということが一番大事だと。したがいまして、早く済ますとか、そういうことではなくて、しっかりした議論をするということが一番大事なことでありますから、そうした意味で、そこの一番大事なところに早く行きたいというふうに率直にそう思っておりますが、なかなかそこに行けずに、入り口に大きな石があるものですから、それをのけて中に入らなければならない、そんな状況ではないかというふうに思っています。ただ、無年金障害者の問題は、前々からの懸案でございますし、私も2年前に私案を発表したところでございますし、また、そのことを与党の方にも申し上げまして、今年の年金改革の中の一項目として、無年金障害者の問題を取り上げていただいております。是非、年金の問題と同時に、無年金障害者問題についても決着をするという一項目を入れて貰っているわけでありまして、先日来も判決が出ます前、2月頃からもいろいろとお話をしていただいているところでございます。
厚生労働大臣談話
1.今回の判決については、立法者の立法不作為をめぐる最高裁判例に違背するとともに、
@拠出制の仕組みをとる年金制度において、任意加入の時期のこととはいえ、制度に加入せず、保険料を納めなかった方々の障害について、国の法的責任を認めることはできないこと
A昭和60年の年金制度改正時には、学生を強制適用とすべきか否か等を検討の上、任意加入の仕組みを維持したものであり、国会の修正により爾後の検討規定も盛り込まれていること
B年金を受給していない障害者の方々に関する議論は、個々に賠償を行うことでは解決されないことなどの点を踏まえれば基本的な問題がある。
したがって、年金制度を所管する立場からは、控訴もやむを得ないとの結論に至った。
なお、4名の原告のうち1名の方の障害基礎年金不支給処分取消消請求については、初診日に関する事実認定に基づいて支給すべきとされた判決を尊重し、控訴しないことが適当であると判断した。
2.年金を受給していない障害者の方々に関しては、国会における附帯決議等もあるが、私自身も平成14年7月には対応の試案を発表し、その後も検討を進めてきたところである。
今回の判決については、控訴をするとしても、次のような方向で、今後とも、年金を受給していない障害者の方々に対する施策を考えていきたい。
(1)まず施策を考える際に踏まえるべき点について申し上げたい。
第一に、わが国の年金制度は、社会保険方式に基づく国民皆年金という考え方の下、「拠出に基づく年金」を基本としていること、
第二に、わが国の社会保障においては、障害の有無にかかわらず、最低限の生活保障は、各般の福祉的措置と最終的なセーフティネットとしての生活保護との組み合わせにより適切に対応されているということである。
(2)その上で、今般、学生等の年金制度の発展過程で生じた特別な事情、現行の老齢福祉年金、障害基礎年金、障害者関係手当等との均衡、年金における国庫負担の果たしている役割等を十分考慮して、与党における検討も踏まえ、一定範囲の方々について、福祉的な観点から適切な措置を講じる方向で具体的な検討を行い、できる限り早期に結論を得ることとしたい。
(3)このような施策の実施に向けては、財源の確保の問題や給付水準など細部にわたる問題についての検討が必要であるが、この問題は既に与党においても検討が進められているものと承知しており、十分調整をとりながら、実現に向けて最大限努力したい。
声 明
厚生労働大臣の談話により、4名の東京原告のうち不支給処分取り消しが認められた1名を除いて控訴するとの報に接した。本日、全国原告団の代表から、控訴断念及び早期救済などを求める要請書を受け取りながら、即日、大臣談話が発表されたことに対し、全国の学生無年金障害者の原告らは強い怒りを覚えるとともに、控訴による救済の引き延ばしに対して強く抗議する。
大臣談話における無年金障害者に対する施策は、10年前の国会における附帯決議の内容を超えるものでもなければ、いつ、どのような内容の施策を立法化するのか、年金制度か福祉的措置か、対象者をどの範囲にするのか、金額をどうするのかといった重要な諸点の解決の道筋すら全く示されず、極めて不明瞭なものである。これでは、先の附帯決議以後と同様に、何ら解決されない状態が今後も続く危惧を抱かざるをえない。
平成14年7月に発表された「坂口試案」で、「無年金障害者は本人はもとより、その扶養者である両親をはじめとする親族等は高齢化が著しく、看過できない事態に立ち至っている」と指摘されているとおり、原告らも原告らの両親も高齢化がすすみ、肉体的にも経済的にも精神的にも限界に達している。原告の中で最高齢の者は、現在62歳である。大臣談話は、当の大臣自身の指摘とも整合せず、原告らを失意の淵に追いやるものである。
制度の所管責任者として、東京地裁判決の指摘した立法の不作為の違憲・違法を素直に受け止め、緊急に無年金障害者を救済する本来の国民皆年金制度の実現に向けた責任を果たされることを強く要求する。
2004年4月6日
学生無年金障害者訴訟全国原告団
学生無年金障害者訴訟全国連絡会
学生無年金障害者訴訟弁護団全国連絡会
東京・無年金障害者をなくす会