「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)


便秘
●さまざまな病気につながる便秘
 快食、快眠、快便は健康の三原則です。しかし、快便は軽く見られがちではないでしょうか。いくつかの定義がありますが、一般に排便が二日に一回、またはそれ以上の間隔のある場合を便秘といいます。一日に一回、朝食後に便通のあるのが理想的ですが、二日に一回でもしっかり排便ができれば便秘とは言いませんし、毎日排便があっても、便が出にくかったり、量が少なすぎれば便秘です。
 便がいつまでもお腹の中にとどまっていると、腐敗して有毒物質が発生し、それが腸管から血液中に吸収されて、さまざまな病気のもとになります。腹痛などの消化器症状とともに、イライラしたり頭が重くスッキリしないなどの神経症状もおこってきます。また、肩こり、高血圧などの原因にもなります。

●障害のある人と便秘

 ある知的障害養護学校で排便の実態を調べたところ、一割の子どもに固い便が見られました。毎日排便がある子どもは6割で、朝の排便が定期化している子はわずか4人に1人でした。
 肢体不自由の重い障害がある人の場合には、緩下剤や浣腸を日常的に使っている人も少なくありません。食事が繊維の少ない柔らかいものになってしまう、運動不足による腸の働きの低下、生活リズムの乱れなど、便秘になりやすい要因が重なっています。また、排便に介助が必要な場合には、介助者の都合にあわせて排便したり、外では排便しないでがまんしたりするために、せっかく便意を感じてもおさえてしまうこともあります。
 便秘は、てんかんの発作をおこす誘因になったり、自閉症児ではこだわりや常動行動を増やし意欲を低下させるなど、発達の障害にもなります。

朝の水、運動、マッサージ、食事

 以下、養護学校や施設で効果が認められた便秘対策をいくつか紹介します。
朝起きてすぐに水をコップ一杯飲む 朝は最も排便しやすいときです。冷たい水で大腸反射を誘発します。
腹筋を使う運動、散歩やランニングなど脚を使う運動をする 背筋をのばしてかかとで歩く、片足とびや両足とびなど、たいへん効果があるようです。
腹部をマッサージする おへそを中心に時計の針の方向に「の」の字を描くようにマッサージします。摂氏40度ぐらいのお風呂で行なうとさらに有効です。
便秘によい食べ物をとる バナナやすっぱい果物、いも類・豆類、にんじん、ごぼうなどの野菜、海藻など繊維の多い食べ物をとるようにします。いちじく、プルーン、根こんぶは、とくに有効です。
 胃腸の疲労をさけるために、過食、間食、夜食などをさけることも必要です。
       

葉

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