◆1◆  第37回制度改革推進会議「災害と障害者」テーマに論議      以下は、傍聴者の個人メモ(概要)です。 正確には内閣府のライブ映像か議事録をご参照ください。 ---- 日時:2012年1月23日(月)13:00〜17:20 会場:中央合同庁舎第4号館共用220会議室 議事:災害と障害者について、その他 【資料一覧】  http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_37/index.html  資料1 東日本大震災被災地調査 概要  資料2 東日本大震災被災地調査報告 岩手  資料3 東日本大震災被災地調査報告 宮城  資料4 東日本大震災被災地調査報告 福島  資料5 南相馬市提出資料  資料6 小野浩氏提出資料  資料7 小山貴氏提出資料  資料8 白石清春氏提出資料  資料9 八幡隆司氏提出資料 委員提出意見・資料  参考資料1 岩手県・宮古市  提供資料  参考資料2 宮城県・南三陸町 提供資料  参考資料3 福島県・南相馬市 提供資料  参考資料4 東日本大震災における障害者の死亡率        (ノーマライゼーション2011年11月号) ●東室長報告 ・人事=岡田克也担当大臣に、中塚一宏副大臣、園田康博政務官 ・新委員=花井委員(連合)に ・12月に推進会議メンバーが現地調査実施、本日は現地の中核を担うみなさん出席  西浦・南相馬市健康福祉部長  小野・JDF宮城支援センター  小山・きょうされん岩手支援センター  白石・JDF支援センターふくしま  八幡・ゆめ風基金 <要援護者支援のとりくみめぐって> ●西浦・南相馬市健康福祉部長 資料5参照 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_37/pdf/s5.pdf 南相馬市の「災害時要援護者名簿」は、 高齢者・障害者(要介護度3以上、身体障害者手帳1〜2級、療育手帳A)を対象に、 個人情報について同意の得られた方(66.94%)を対象に策定し、 4280 人の登録がある。 この計画は、民生委員、区長、消防団等に配布してあるが、 今回の震災では地域全員の市民が避難となったため、機能しなかった。 ●小野・JDF宮城支援センター 資料6参照 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_37/pdf/s6.pdf 2012 年1 月、ようやく身体障害者手帳の再発行者数が判明した(仙台市を除く)。 沿岸部は、女川町の19.4%がともっとも高く、南三陸町15.0%、気仙沼市7.9%。 しかしこれらの人たちが、現在、自宅で暮らしているのか、仮設住宅もしくは 見なし仮設住宅で暮らしているのかは定かではない。重い人ほど「みなし仮設」 に暮らす。県外に8999人。 ●小山・きょうされん岩手支援センター 資料7参照 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_37/pdf/s7.pdf ・要支援者、支援者の双方が救われる方策が必要。 ・地域で暮らそうと街にでたグループホーム利用者が被害にあった。  山の上にあった施設は無事だった。そうしたことと災害リスクをどう考えるか。 ●白石・JDF支援センターふくしま 資料8参照 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_37/pdf/s8.pdf ・名簿を唯一貸してくれた南相馬市のみ、安否確認できた。 ・福島には原発もある。いまも6万人が県外避難している ●八幡・ゆめ風基金 資料9参照 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_37/pdf/s9.pdf 以下、委員の主な質問、意見 〇南相馬市・西浦=「災害時要援護者名簿」は同意者方式。個人情報保護法では 制約あるが特例があるので、情報開示した。すべての人の安否確認とニーズ把握できた。 〇個人情報の公開は、障害者側の不信感が生まれかねないのでは。 〇東松島、女川町などでは保健士と同行調査できた ○被災地では役場も社協も精一杯。外部団体の協力が必要 〇手帳情報の管理の不備もある。民生委員の高齢化も。要援護者登録者が少ない。  制度を根底から洗い直す必要がある  〇支援ガイドラインの改定必要 〇災害時と日常とで、わけて考えること大事だ ●藤井議長代理 ・津波では、まったく無力だった事実。  ・災害時の名簿のありよう。本人ニーズの欄もないことなど検討課題。  ・個人保護条例と情報公開とのせめぎ合いがある。 <安否の確認と支援ニーズの把握について> ●南相馬市・西浦 ・安否の確認や支援ニーズの把握は、市民の生命と安全を守ることから行政の責任  実施にあっては、障害団体や事業所等と連携が必要 ・情報開示は、地元のNPO 法人、JDF支援センター福島から開示要望があり、  「緊急やむを得ないため開示ができないか」と個人情報の開示について検討  した結果、南相馬市個人情報保護条例の特例を適用し  「障害者の生命、身体及び財産」を守るため開示することが適当と判断。 ・生命守るための開示。一人一人のニーズ調査はJDFの協力で可能になった。 ・一軒一軒に支援物資も届けられ生命と安心を届けられた ●小野 ・宮城県の紹介状をもって沿岸部自治体を訪問するも開示されなかった ・そのため各避難所を訪問して1600人の実態を把握 ・気仙沼では、住民台帳を民生委員などに開示。生命財産の危機に開示できる ・もっと地元の県のイニシアチブ発揮を ●小山 ・すべてが失った陸前高田市は数字を出せていない。 ・そうしたところで、実施者をだれに求めるのか曖昧 ●白石 ・福島では、行政主導で安否確認は思うように行われてこなかった ・各地の行政と民生委員、町内会との連携がうまく行っていなかった ・福島県は原発事故による特殊性があり、また各市町村の行政全体が  避難対象になってしまったということもあり安否確認まで手が届かなかった。 ・各被災地では個別ニーズに関しては把握してなかったのでは ●八幡 ・外部だけでは入りづらいことがある ・「みなし仮設(アパートなど)」は、安否確認もできていない 以下、主な意見 〇南相馬の考え方をどうしたら広げられるか 〇西浦=担当も含めた意識改革必要ではないか。  信頼される関係があったからこそ情報開示もできた ・躊躇することなく行政の責任としてやるべきことが仕事だと思う ・「ガイドライン」は県も市町村も知っていない。周知が弱いのでは 〇小野=被災している基礎自治体では手一杯。安否確認は自治体にはムリ。仲介は県か ・住民票以外の仮設住宅では改造ができないことは問題 ・「みなし仮設」に重度や精神障害者は多く住んでいるが、市町村は把握できていない。  家賃補助は県と国が管轄している。 〇小山=陸前高田、大槌町はすべて流失した。庁舎もなくなった自治体に  やれとは言えない。その分は県ががんばってほしい。 〇八幡=今回、阪神大震災への支援に比べると「上からの指示待ち」が多いと感じる。  〇どういう支援団体に、どういう方法で、どういう制限で、情報公開は効果的か? 〇国の役割、制度とはなんだ 〇「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」はH17年3月制定 ・ガイドラインは大規模災害は想定していなかったハズ。周知徹底もなかった ●藤井議長代理 ・安否把握と支援ニーズの把握は、内容の吟味が必要 ・基礎自治体の役割、行政全体の支援と役割とはなにか ・障害者支援の中心的機能をうちたてる必要がある ・民間、外部の力の活用の日常的な検討も <災害直後における障害者支援の仕組みの在り方について> ●南相馬市・西浦 一般避難所は、学校の体育館等がほとんど、身体障害者用のトイレがない所や段差があり、 バリアフリーとなっておらず障害を持っている方に対応できない避難所が多く課題。 今後福祉避難所を設けることが課題 県として制度がなかったことから避難者が体育館等に避難を余儀なくされ、 適応できなく自宅や親戚等に移動している状況にあった。 国、県等が主体として広域的に制度として福祉避難所の指定が必要。 ●小野 厚労省は、全国の高齢者・障害者・児童施設に対して、応援職員の派遣登録を呼びかけ、 多くの職員が登録した。しかし、派遣職員の交通費、滞在費、人件費を、 被災地の受入事業者が負担するというものだったためすすまなかった。 また派遣元法人が、社会福祉法人に限定されていたことも制約の要因となった。 福祉避難所の意義と改善課題(小野資料参照)。 ●白石 福祉避難所がどこにあってどのような障がい者が避難しているか全く分からない。 郡山市では、地震によって重度の身体障がい者の家の荷物が散乱したり、 家が半壊したりでとても生活できる状態ではなかったので、 一般避難所になっていた障がい者福祉センターを障がい者用避難所にできた。 ・緊急避難時の相談支援体制について(白石資料参照)。 ●八幡 ・地域の支援の視点がない。福祉避難所ではなく、地域の「避難支援センター」に 主な意見 〇わかりやすい情報が欲しい。ルビもほしい。 〇国が中心となってやるべきことをハッキリしなければ。自治体にはそんなに力がない。 ・この会議の場に、行政がいるべきだ ・要介護者名簿の開示などは、市町村まかせでなく国の仕事ではないか 〇避難入院で、アパート暮らし精神障害者が措置入院された。災害だからといって  収容されることに矛盾感じる。 〇「ガイドライン」には支援者の目線がない。つくりなおし必要 〇災害時でも障害者の個別の支援必要。「支援」がどこにあるかさえもわからず、  そこにたどり着けないのだから。 〇薬切れは大問題。流通がこわれると薬が届かない。広域な薬のネットワーク必要 〇手話通訳者などの公的な派遣のルールが必要。災害教育も 〇情報機器、白杖、ループが壊れたが、再申請は対応年数を理由に  受理されなかった例がある。対応を徹底して欲しい 〇環境の変化に対応できない場合、施設の早期再開は大事。  いつものように作業所に通えれば安定する。 〇一般の避難所にスペシャルニーズの小部屋設置は非現実的なのか? 〇一般避難所の改善は、コーナーだけではだめで、バックUP体制があるかどうか。 ○マンツーマンの支援が必要な場合もある。それに対する対応ができるかがないと  施設入所問題もでてくる ●南相馬市・西浦 ・これからがたいへん。復興計画に今日の議論を載せていくこと大事だ。 ・仮設入所の長期化がすすむなかで、こころやからだの病が深刻に。 ●藤井議長代理 ・時系列でまず整理が必要。避難所にたどりつく前での障害者実態。避難所の形態。  一般避難所充実か福祉避難所か。だれが構想を考えるか <復興にむけた障害者支援> ●小野 資料6〜7P参照 ・「みなし仮設」の実態把握を ・インクルーシブなまちづくりを 本当の復興を 国の責任は重い ●小山 ・バリアフリー仮設は 最初から ・「みなし仮設」利用のゆるやかな基準を ・震災前よりも住みやすい地域を。陸前高田市は共生社会めざす ●白石 ・復興住宅は、放射線量が極めて低い場所に建設し、全てユニバーサルデザイン化を ・万が一再度第一原発で大規模な事故が起こった場合、障がい者や高齢者の迅速な  避難支援行動がとれるような準備 ・所得保障 ●八幡 ・まともに風呂に入れるような仮設住宅建設を ・財政は「災害復旧費」で改修を ・地域で住むための仕組みを 〇仮設住宅はすべてバリアフリーに。インクルーシブなまちづくりを。当事者参加 〇地域で長く暮らせる復興計画を 〇家族への支援の視点重要。日頃からのつながりが大事 〇福島の原発問題をどう考えるか。中通り浜通りを大きな復興対象の地域に  広島の20〜30個分の放射能。その影響受けた子どもたちが何代かつづく。  世界ではじめての歴史経験する。大きな目で福島の議論を 〇常設の「障害者災害対応センター」で情報蓄積、情報交流の検討を ●藤井議長代理 ・一般に比して障害者は2倍という死亡者は人災要素がある。どう減らしていくか。 ・今後復興庁が立ち上がるが障害分野どうするか。  ・死亡者、行方不明者の精緻なデータが必要 ・被災直後から今日までの障害者の生活実態調査が必要 ・震災政策が障害者の観点から有効であったかいなかの吟味必要 <第二次アジア太平洋10年最終年にむけて> ●松井 資料参照 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_37/pdf/o-s2-1.pdf  昨年12月バンコクで会議。「インチョン戦略」を議論。 今年3月に案→10月のインチョン会議で、第三次アジア太平洋10年の戦略決める <総合福祉法のうごきめぐって> ●東室長 ・骨格提言がまとめられて時間がたったが、法案は厚労省で準備している。 ・与党WTでヒヤリング行う。 ・推進室は、議員からレクチャーの要請があれば出向いていくよう努力している ・総合福祉部会は、骨格提言後も部会開催をはたらきかけている。さらに開催時期が  ハッキリするよう働きかけたい。 〇基本合意書、閣議決定をへて法案作業が展開している。部会決議は推進会議も了承。  推進会議として厚労省に作業推移の報告を求めるべきだ。  法案はいつごろ骨格提言に基づいたものとして出てくるのか?  出たときは推進会議に報告はあるか? 〇今後の福祉施策の進行について気になる話を聞く。廃止でなく、一部改正の動き。  それはあるのかどうか? あるとすれば、ゆゆしき自体。違憲訴訟があり、  与党が「自立支援法を廃案し新法つくる」と公約した。推進会議の下に総合福祉部会。  存在意義が問われる。  なんらかの働きかけを! 早急な働きかけを!(傍聴席から大きな拍手) 〇総合福祉法はどうなっているのか、報告する場をぜひ 〇4月から「つなぎ」法になる。その性格が介護保険に近い。  総合福祉法にむけた「つなぎ」ではない。きちんと説明をして欲しい ●藤井議長代理 ・東室長の答えられるところがあれば答えて欲しい ●東室長 ・進捗状況の報告、法案骨格ができた場合の報告は総合福祉部会を念頭に考えている。  その方向で働きかけをしている ・一部改正の動き、与党WTヒヤリングの中で障害者団体や議員から出たりしている  ことはご存知のところ、全体としてどうなっているかは関知していない。 ・与党厚労部門会議で一部改正と報道されたが、改正とは内容とはちょっとちがうの  かなと感じている。厚労省案の中身がわからないとなんとも言えない。 ●藤井議長代理 ・情報がまだ十分ではない。政府案がまだ出ていない。しかし、出てからでは  遅すぎるの意見もある。 ・推進会議は責任をもって骨格提言を蓮舫担当大臣に提出した。 ・総合福祉部会開催の要請。なんとか実現したい ●次回は第38回、3月12日(月)。  最終の会議となり、その後は「政策委員会」に引きつぐ