障害者自立支援法で子どもの支援はどうなる

シーサー 渡辺あふる 絵

障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会/編集


OOSAK11.22-23
  
全国障害乳幼児問題研究集会(大阪)で
  実践と運動を交流しましょう!


 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会は、つぎの集会への参加を呼びかけています

 「ゆたかな乳幼児期を すべての子どもたちに」
今、私たちは障害乳幼児の療育制度の大きな転換期を迎えるときにいます。この集会でこれまで築き上げてきた障害児療育・保育の実践や制度、理念を振り返り、障害を持っている子どもたちの豊かな発達を保障し、子どもたち一人ひとりがいきいきとした生活を送ることができるよう、みなさんで学びあいましょう。

 基調報告(案)PDF 271KB 新

◎日時 2008年11月22日(土)13時受付〜23日(日)15時閉会
◎会場 吹田市文化会館メイシアター、吹田市民会館、大阪大学工学研究科U2棟

22日(土) 開会全体会 13:45〜16:15 吹田市文化会館メイシアター(阪急吹田駅下車すぐ)
 記念講演 障害乳幼児のゆたかな発達と生活/茂木俊彦(桜美林大学)

23日(日) 基礎講座・シンポジウム・分科会 10時〜15時
 基礎講座  大阪大学工学研究科U2棟(阪急北千里駅下車徒歩15分)など
 基礎講座A 発達のみちすじ 〜大好きなおとなから友だちへ/丸山美和子(佛教大学)
 基礎講座B 障害乳幼児の保育・療育における大切な視点/近藤直子(日本福祉大学)
シンポジウム 大阪大学工学研究科U2棟
  「地域療育システムの構築 〜障害乳幼児の療育と家族を支援する地域づくり」
 指定討論者 中村尚子(立正大学)ほか
 コーディネーター:藤上真由美(高石市役所)

 分科会 吹田市民会館(阪急吹田駅・JR吹田駅下車徒歩8分)、吹田市文化会館メイシアター(阪急吹田駅下車すぐ)
 1)自閉症/白石正久(龍谷大学)
 2)知的障害/木下孝司(神戸大学)
 3)肢体不自由/坂野幸江(全障研大阪支部)
 4)気になる子ども/別府哲(岐阜大学)
 5)保護者・子育て/池添素(らく相談室)

 参加費(予約申込み) 一般4000円/全障研会員3000円/家族・障害者・学生2000円
 締め切り後申込み:それぞれの予約申込み額にプラス500円

 ○詳しくは案内チラシをご参照ください   案内チラシ表(word)  案内チラシ裏(word)

10.31日比谷で6500名の大フォーラムとデモ行進がとりくまれました
 池添素事務局長の訴えが動画で見られます(実態発言者の2番目です)新。 全国大フォーラム

 障害者自立支援法は憲法に違反すると全国で一斉に提訴されました! 勝利をめざす会


■福祉新聞「論壇」 2008.8.18

  池添素(当会事務局長・らく相談室主宰)「障害児への療育保障の実現を」(PDF)

■「障害児支援の見直しに関する検討会」報告書、まとまる
  通園施設と児童デイサービスの「一元化」について意見を!

 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会の見解
 ○検討会報告書(PDF

NAGOYA 6・22 に全国から100名がつどい決意 
 すべての子どものゆたかな発達を保障する療育
 のあり方をみんなで考える集い

  大雨の中全国からかけつけた参加者 続々と発言が
 6月22日(日)、名古屋市で開催されたつどいには、北は宮城から南は鹿児島まで全国各地から保護者や療育関係者など100名が集いました。
 はじめに、中村尚子副代表(立正大学)が、国連に届けよう第3回集会(2007年9月30日)以降の障害乳幼児に関わる施策の流れと、厚生労働省の「障害児支援見直しに関する検討会」について報告し、検討会の評価と今後の課題について述べました。
 続いて、塩見洋介さん(障害者(児)を守る大阪連絡協議会)が大阪での「障害乳幼児の通園施設等における負担実態調査」の中間報告を行いました。通園施設に通うためにお金が必要になると家計が圧迫され、無理に節約をしたり、それでも厳しい場合には利用抑制につながってしまうなど、子ども、家族を追い詰めるひっ迫した状況が報告されました。
 基調講演は、「障害乳幼児の療育のあり方と実践の課題を考える」と題し近藤直子副代表(日本福祉大学)が講演。子どもの発達にとっての療育の意味や、子どもたちの発達を保障する取り組みをどのように広げていけば良いかなどについて講演しました。その中で、親子双方にていねいな支援が必要であること、早期に療育を開始し、子どもたちが楽しめることを十分に保障することの必要性について触れ、どこに住んでいても、どの子にもそれらを保障されなければならない、療育は教育と同じく権利であり、国や自治体が責任を持つべきであると強調しました。
 フロアー全体による実践・運動の交流では、全国各地の保護者や通園施設の職員等から発言がありました。「自己負担がほんとに大変(愛知・保護者)」「きょうだいが多くて毎日が大変。その上に利用料で家計も大変になっている(保護者)」「仕事に展望や見通しが持てず職員が辞めてしまっている(和歌山・通園施設職員)」「報酬単価の日割り計算などにより施設の運営が悪化している(通園施設職員)」など、自立支援法によって障害がある子どもとその家庭が追い詰められている現状が改めてうきぼりになりました。(大)
  
当日のようすを報道する「福祉新聞」2008.6.30

●意見書  乳幼児期の総合的な権利の保障の視点をもった「障害児支援見直し」を求めます
             障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会  2008年5月20日
        
PDFファイル    wordファイル

■障害児支援「見直し」 検討はじまる  
   
わたしたちの声をとどけよう

 3月18日、厚労省内で「障害児支援の見直しに関する検討会」の第1回目の会合が開かれました。
 同検討委員会は、障害者自立支援法の「見直し」の一環として障害者自立支援推進本部に設置されたもので(障害者自立支援推進本部第3回会合(1月25日)の「資料8」)、障害保健福祉部長のもとに、障害福祉と児童家庭局の関係課と、17名の検討会メンバーが検討事項について話し合いをすすめていきます。検討の結果は、08年7月までにまとめられる予定。
   →
障害児支援の見直しに関する検討会(第1回)資料(WAMNETより)
 応益負担を持ち込ませない会は、同検討会に対して、家庭から、施設から実態に基づいた意見を提出する運動を提起します。

●何を検討するのか

 「主な検討項目」としてあげられているのはつぎの4点です。
 @ライフステージに応じた一貫した支援の方策
 A家族支援の方策
 B行政の実施主体
 Cその他
 障害者自立支援法の附則において、施行後3年を目途として「障害児の児童福祉施設への入所に係る実施主体の在り方等を勘案し、必要な措置を講ずる」と書かれています。検討チームの発足はこの課題に対応したものです。
 現在、児童福祉法に基づき都道府県の所管事項である障害児施設の利用に関して、これを自立支援法のもとにある児童デイサービスや居宅の福祉サービスと同等の市町村に委譲することを中心にして、体系的整備の方向性を提案することを目的にしてます。
 自立支援法の出発点となった障害保健福祉施策のグランドデザイン(厚生労働省)で言及されている障害児施設・サービス体系の見直し(再編)については、特別には検討項目にあがっていません。しかし、会合のまとめで、座長の柏女霊峰氏(淑徳大学教授)は「施設体系の見直しも検討課題に入れる」と発言しています。

●自立支援法を見直す視点はあるのか
 委員からは、入所(利用)決定における措置と契約の都道府県の違いや、施設・児童デイサービスの運営の困難などに目を向けるべきだ、重症心身障害児施設入所の18歳以上の者はサービスの谷間におかれているなど、自立支援法の導入によってもたらされた困難を指摘する発言もありました。また、児童養護施設や児童相談所の一時保護所の障害児の実態や学齢期の問題を検討する資料を提出すべきだという意見、さらに憲法と子どもの権利条約の精神にのっとってもっとも弱い子どもの立場にたって検討してほしいという要望がありました。
 しかし、厚労省から準備した資料からは、自立支援法の問題点を解決しようという積極的な姿勢はみられません。毎日通園はむずかしい施設での運営の困難(『障害者問題研究』第35巻3号「特集 障害者自立支援法と乳幼児療育の課題」参照)や、補装具、自立支援医療の費用負担についてには目が向けられていないのです。当日配付資料の中では、児童デイサービスの利用が急増している、肢体不自由児は保育所利用が多いといった「現状」が示されていますが、ここから、毎日通園でき十分な療育を保障できる通園施設の増設といった方向性は導き出されないでしょう。

●ヒアリングは12団体
 検討会は4月に2回、関係団体からのヒアリングを実施します。しかし、資料にあるように、障害種別のおもだった全国団体と施設団体に限られています。しかも、1団体10分程度の意見表明と質疑応答の時間しかなく、その聴取内容には限界があります。
 障害のある子どもの放課後保障全国連絡会(放課後連)は、3月初めに、検討会の開催にあたってはヒアリングの対象に加えてほしいという要望書を厚労省に提出していましたが、ヒアリング団体には指名されませんでした。「具体的な検討項目」の一つである、「学齢期・青年期の支援策」や「家族支援の方策」に関連して、実態に基づいて検討をするのであれば、放課後連の実践の蓄積から学ぶことが欠かせないはずです。
 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会も、残念ながらヒアリング団体ではありませんが、みなさんの声を集めて検討会に意見を届ける予定
です。

第3回障害児支援の見直しに関する検討会資料(平成20年4月25日開催)
  関係団体からのヒアリング・意見交換等を議事

●子どもとしての発達の権利と特別なケアへの権利をいまこそ
 厚労省説明資料でも、政府の「骨太方針2007」や「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略」など少子化対策の中で「障害児世帯を支える取り組みを充実強化する」方向性が提示されています。また、児童養護施設等でも障害のある子どもがケアされていたり、被虐待児と障害の関連なども指摘されているところからも、今後の「見直し」は、これまでの障害児施策の枠内だけでの組み替えではなく、広く子育て支援策や社会的養護問題との関係を意識してすすめられていくことでしょう。今回の検討会の座長である柏女氏が、児童福祉の専門家であり、児童相談所や児童養護の分野で発言している人物であることからも推察されることです。
 私たちは、障害の早期発見はすべての子どもの健康を守る取り組みが充実してこそ進展すること、早期療育も支援を必要とする親子にたいする母子保健事業の発展を必要とすることなどを、子どもの権利の視点の重要性を強調してきました。しかし同時に留意しなければならないことは、障害児と家族への支援は十分な特別な手だてが必要だということです。保育所への入所を促進することだけでは十分な療育は保障されないというのがその例です。「子ども一般」が強調されるあまり、特別なケアへの権利が軽視されることがあってはなりません。特別なケアの保障は財政的な裏付けが十分でなければならないことからもこの点を見落としてはなりません。
 検討会は、ヒアリングのあと、5月から月2回のペースで会合を開き、7月までにまとめを行います。その結果は、社会保障審議会障害者部会に持ち込まれ、児童福祉法等の法改正に向かう予定です(子ども一般施策とのつながりを踏まえた検討がなされるといいながら、社保審児童部会や児童福祉審議会で検討されないのでしょうか。その点は今のところ不明)。

●検討会に向けて意見を
 応益負担を持ち込ませない会では、検討会に意見を提出する取り組みをはじめます。
 検討会が提示している「具体的な検討事項」の柱にそって意見をまとめ、応益負担を持ち込ませない会あて送ってください。検討事項は全生活に関わっています。施設や自治体関係機関、学校の職員、保護者、それぞれの立場から、お寄せください。
 ■メールにてお寄せください。送付にあたっては、個人・団体名、連絡先等を明記してください。
 
第一次意見募集期間 4月1日〜4月30日

 具体的な検討事項
 ・障害の早期発見・早期対応策について
 ・就学前の支援策について
 ・学齢期・青年期の支援策について
 ・ライフステージを通じた相談支援の方策についいて
 ・家族支援の方策について
 ・行政の実施主体について
 ・その他

たとえばこんな感じで
 「障害の早期発見・早期対応について」
 <1歳半健診で言葉のおくれが指摘され、「どうすればよいか」がわからないまま半年を過ごした経験から、健診を受けた保健センターに通える場があったらよいと思った>というような体験的なこと
 「家族支援」について
 <車いすや装具、補聴器などの費用の支払いがたいへんだ>という費用に関わること
「就学前の支援策」
 <健康状態はよいのに、週1回しか通園できない。もう少したくさん通園できたら、生活習慣なども身につくのではないか>など、施設に関わることを保護者の立場から
 「学齢期の支援策」
 <学童保育>や<放課後・長期休業中の生活>
 「ライフステージ」
 <通園している子どもだけではく、地域の子どもの支援をこのようにすすめているが、それももっとやりやすくするためにこんな制度が必要>
 <学齢期の福祉相談の窓口やコーディネート業務の提案>
 「行政の実施主体」
 <市町村委譲にたいする意見><児童相談所のあり方について>

■きょうだい児の保育料、軽減実現!  
 「2人以上の子どもを保育所や幼稚園に通わせている場合は、第二子以降の保育料が軽減されることになったのに、通園施設じゃ適用されない。これって、おかしい!」という声を厚労省に届けて1年余。4月から、改善されます。児童家庭局の保育所関係で予算化されたもの。すべてのケースではありませんが、一歩前進です。
 特別支援学校幼稚部、通園施設、情緒障害児短期治療施設通所部、児童デイサービスに通っている子どもの弟妹の場合、幼稚園、保育所、認定こども園の保育料が軽減されることになりました。 


■『子どもの権利と障害者自立支援法』刊行!   詳細はここに。
 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会 茂木・近藤・白石・中村・池添編 全障研出版部 定価1575円
 「子どもの権利」をキーワードに、障害者自立支援法によるさまざまな問題を解き明かし、子どもたちの健やかな育ちをねがう保育者の声もたばねた一冊。この間の全国集会の浅井、茂木記念講演、9.30シンポ内容も掲載。

 会場一杯の参加者 2007年9月30日 第3回国連に障害児の声を届けよう全国集会(大阪)
 全国集会 2007年7月1日 第2回国連に子どもの声を届けよう全国集会(東京)
 浅井基文さん フロアーから 2007年2月18日 第1回国連に子どもの声を届けよう全国集会(東京) 
 意見を述べる池添さん 意見を述べる池添さん 2006年12月6日 衆議院厚生労働委員会
 ■2007年のとりくみの記録

 2006年のとりくみの記録       

 2005年のとりくみの記録

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