小林みえこ参議院議員 国会質問(要約)   2005.10.6 参議院厚生労働委員会


小林(共産)/前国会で廃案になって再提出され、関係者の不安が本当にでている。前国会で「保護者がサービスを選択することに意識の醸成がなされている」という大臣答弁の根拠は?

尾辻厚生労働大臣/朝日議員の質問に答えたのだが、調査は行っていないが、その根拠だが、例えば支援費制度移行後平成15〜16年で、児童対象のサービスは2.4倍になっている。人口カバー率も9割弱になっている。この数字をもとに、保護者の間に契約制度に基づいてサービスを利用するという意識の醸成があるとのべた。

小林(共産)/調査はされていないとの答弁でした。ここに大阪障害者センターの実態調査がある。児童デイサービスの制度を利用してないのが71%ある。「制度を知らなかったため」というのが31.9%ある。同時に障害児童の制度を措置として残したのは、入所には専門的判断が必要なためであり、医学的判断も必要です。しかし、知的障害児のお母さんの話を聞くと小児科医の受信に1年半待ったと聞きます。まず、そういう基盤整備がもっともいそがれているとおもうが、大臣いかがですか。

尾辻大臣/数字は、述べられた通りだと思うが。申し上げたいことは障害者へのサービスに地域差があり、全体にサービスが行き渡ってない現状をなんとかしたいと思い、障害者自立支援法をお出している。平成15年度に障害児の居宅サービスが契約制度を導入し、選択の意識が醸成されてきた。専門的機関の充実も図られたため、提案したものである。引き続きこのこのについての検討はつづけてまいる。必要な措置はやっていく。

小林(共産)/つまり、条件整備は不十分だということですよね。意識の醸成どころかどんなに親御さんが不安に思っていることか。重度知的障害を自閉症児の母の手紙を紹介する。「一生この子の介護で終わるんだ、この子といっしょに死のうと何度考えたことか、それを支えてくれたのは、通園施設の先生。本気でむきあい、いっしょに悩んでくれた。保育料が一律になれば、現在の5倍以上に。給食費も実費。子どもたちが障害児通園施設に通えなくなってしまいます」。乳幼児の障害の発見は難しいです。ましてや健康なわが子を願っていた母にはわが子の障害をなかなか受容できません。児童デイサービスは手帳が無くて今後も利用できると言われた。通園施設はどうか?

尾辻大臣/現在受けておられるサービスは今後も持続可能なものにしなくてはならないと考えている。そのために、まずは義務的経費とする。障害者自立支援法をそのために組み立てたとご理解いただきたい。障害児の施設利用については、措置制度から契約制度に移行するが、手帳を保持しない児童でも現在同様利用できる。変更はない。

小林(共産)/応益負担が親御さんの心配だ。食費も負担。医療費もベッド、補装具も1割負担となる。若い世代にとって大きな負担の増大になる。資料をパネルにした。大阪の障害乳幼児を抱えるご家庭の例。厚生労働省の試算をもとに作成した。知的障害児は、現在3000円払っている方は、14400円に。食費がプラスされて28700円。約10倍の負担増。現在7000円負担の家庭は、別途医療費がかかり22800円に。いずれもですよ、1か月の収入が30万以内の家庭です。そこからローン、食費、経費をはらい、今の3000円、7000円でぎりぎりだとおっしゃる。いったいどこから捻出すればいいのか、本当に心配されている。大臣は若い世帯にこんな負担を押しつけていいと考えているのか?

尾辻大臣/この度の法案提出は、配慮の1つはできるだけ負担を軽くしたいと。とくに無理な負担はお願いしないということを配慮した。いまのそうした方々にはこういうことにお使いくださいと児童手当を出している。1級は50900円、2級は33900円。その範囲内でぜひ出してくださおいと言っている。

小林(共産)/いまの話は別問題だとおもいます。負担増をどうするという問題で、児童手当の話をもちだすべきではない。
もうひとつ、「決め細かい対策を」、といっているが、どのくらいの世帯が対象世帯なのか?

中村局長/知的、難聴幼児児、肢体不自由児と通園施設と別れているが、低所得A、B対象は13%となっている。

小林(共産)/障害乳幼児をかかえる若い世代=87%の世帯は対象外となります。負担の増大になる。施設に通えなくなる。いったいどこからだすのかと言っておきたい
若い世代の負担はほかにも、補装具の負担もある。1つ40万円かかります。いまは5000円の負担で納まっているが、1割負担では8万円になる。16倍です。保護帽や義足など、いくつも買うので、23万から131万円、1割では2.3万から13万円となる。子どもは成長に伴って補装具の買い替えもある。負担が重い。若い世代にどう負担できるのか。所得に応じた負担というだけでは、わからない。具体的に説明を。

中村局長/補装具は、自立支援法で1割の負担をお願いしている。家庭への影響を考慮して上限額を設定。予算編成過程で設定する。障害サービス負担額を念頭に設定する。例えば低1ならば一般世帯は4万円など。さきほ提示された80万の1割だと、平均単価は2.4万。この方は重度の方と思うが、一定の負担をお願いしたい。

尾辻厚生労働大臣/百何十万円かかってもお金は天からふってこない。誰かが負担することになるんです。これはみんなで助けあっていかなければいけない。それで負担する力があれば負担をお願いしている。しかし出来るだけ抑えたい。

小林(共産)/誰かが負担しないといけないといって、障害者の方、障害児の親御さんに、負担を強いるべきではない。補装具の上限を設定しても、現状と比較しても1000円から2.6万になる場合もある。10〜20倍になることもある。これは負担の増大ですよ
育成医療の場合も、障害者の親から手術などで200万円かかることがあるがいまは育成医療で救われているが、1割定率になると負担が重くなる。激減緩和といって上限を設けても、現行よりも重くなる。所得税非課税世帯でも負担が増える。

小林(共産)/施設利用料、医療費、補装具どれをとっても、上限設定しなくてはならいほど、この法案はいかに負担増になるかを示している。上限設定しても負担が増えることに変わらない。児童育成に逆行する。若いお母さんに負担がかかり、通園施設に通えないかもしれない、ならば子どもたちの育成に逆行する。この法案はこの視点からも逸脱する。廃案しかないと申し上げて終わる。


■ もどる