トップページ> 2011 記念講演・中澤正夫さんの講演ダイジェスト



演題=原爆から原発を見る 〜ヒロシマ・ナガサキ・ビキニそしてフクシマ〜」

<1>ヒロシマ・ナガサキがもたらしたもの
日常的、生活、判断力から遠いできごとがおこってきた。
農業など第一次産業はよく判断できる。おかしいとか判断できる。
自転車の運転でもうまいとかへたとか。車なら衝突しそう、飛行機なら落ちたら死ぬよね

ところが、パソコンになると「操作」は知っていても「原理」はわからない。
化学の世界になると、合成化学とか日常感覚ではわからなくる。
そして、もっとも遠い話が原子力産業の話だ。

放射能は、においもない。色もついてない。五感で体感できない世界だ。
日常的にチェックしなければならない。でも、「専門家」はうそをついていた。
「原発事故」という表現もうそ。「事故」は毎日おこっていることで原発の「破壊」が今おこっている。
その結果、コントロールできない事態がおこっている。

原爆と原発は一字違いだが、原理は同じ。
核分裂はすごい熱とエネルギーを発する=「原爆」
それをうまくコントロールしようとしているのが「原発」。熱で蒸気がタービンを回して発電する。

1)ヒロシマ、ナガサキの被害
・何百万度の高熱。火傷で多くは死んでいる。猛烈な衝撃派で建物が倒壊。下敷き、火事で焼け死ぬ。
・同時に内部被曝していた。口から吸う、水道から飲む、食べものといっしょに食べてしまう・・・
 いま生き残っている人たちはそのことで苦しんでいる。ガンで倒れる人、いまもおこっている
・体だけでなく心に深い傷をおう。生き残ったことの後ろめたさ。そのときのことがフラッシュバックするなどPTSDが今も続く

2)被爆者の身体被害の状況やその後の健康データ
・9月にアメリカが広島に入るがそれ以前に日本は相当調べていた。膨大なデータがあったがアメリカに持ち去られた。
公表されないまま、ひそかに解析された。
・なぜ、アメリカにデータを渡したのか?それは、「米軍の心証をよくしようとおもった」「731のことがありますので(生体実験のデータを全部提供することで、戦争責任を免れた)」
・そこには内部被曝のデータもあった。
・その結果をふまえてオークリッジ研究所が出してきたのが「T65D」
・それをもとに、国際放射能防護委員会は「安全値」=1年1ミリシーベルト。従事者は50ミリ/年 か100ミリ/5年間

3)その解析自体がまちがっていることがわかってきている
・ローレンス・リバモア研究所報告=広島・長崎の投下放射線量は推計の1/10。
 ということは「安全値」も1/10に下げなければいけない→すばやくにぎりつぶされた
・マンクーゾ報告(ピッツバーグ大学)=「原子力産業にはたらく者の発がん率は一般人の10倍」
 →変人であると噂が出され、方法論的に謝りと否定され、データ没収された
・国際放射能防護委員会は、「内部被曝」部門をもっていたが2年で廃止
 →原発や原潜・空母が不可能になるから→この会の事業費・維持費は原発産業が出している
・被爆症認定訴訟
 被爆者は「内部被爆」の事例を積み重ねて癌や白血病の因果関係を明らかにし、勝利した。
 その後、解禁されたアメリカ公文書館から内部被曝の実例がたくさん出てきている
 白熱教室

4)フクシマの問題・内部被曝
・制御できない状態。メルトダウン、メルトスルー
・しかし、作業員の一部をのぞいては、外部被曝はそう問題にならない。問題は内部被曝
・内部被曝に安全値はない。何十年か後に結果が出る
・呼吸しただけで入る。水に、食べ物に、それらが汚染されていると防ぎようがない
・水、海に流されたものは、プランクトン→小魚→大きな魚:マグロもサンマも・・・
・沖縄産、九州産といっても魚は回遊する。水揚げした港が「産地」。ほんとは魚に聞くしかない。でも魚はパスポートももっていない
・東京の下水道処理の汚泥からもの高い数値。どこかに埋められるような数値ではない。埋めたらなくなるものでもない。
・水素爆発による放射能は風に乗って、どこにどうまっわたか
・いまももれ続けている
・しばらくたっても消えない 何百年 何千年も消えない

5)内部被曝のメカニズム
・外部被曝はガンマ線
・内部被曝はアルファ線=飛ぶ力は弱い。ところが吸い込むと体内でアルファ線が出てくる
・遺伝子を壊すのはアルファ線。あらゆる方向に飛び出す。細胞膜を切り裂く。
 細胞の中の遺伝子を切り裂く。DNAの塊は遺伝情報をつんでいる
・DNAは二重らせん構造。それがいびつなかたちで再合成される。なんどかくりかえすと障害やガンの発生に
・細胞分裂が活発な人(=胎児、赤ちゃん)。活発な部分(骨髄、生殖器)
・たった一個が入るだけで、切り刻んでいく・・・
・「自然放射能があるではないか」という。しかし、自然放射能には人間は防御する力を備えている
・生命は40億年前に誕生したが、海の底で誕生した。それはなぜか? 海の上では放射能の嵐があれくるっていたから
・それを防御できるシステムをもったものが地上にでてきた(膨大な時間がかかった)
・しかし、人工的な放射能には無抵抗。防御できない

6)線量測定の難しさ
・同心円をえがかない
・測定器 ガンマー線はガイガーカウンターでわかる。しかし、ガンマー線しかはかれない
・単位=シーベルトは毎時、「安全値」は年単位。
・半減期は×10 でゼロになる。 ×2ではない

7)
・年をとると抵抗値は上がってくる。心配なのはこれからの世代、赤ちゃん。これから子どもつくる人。
・わたしたちは何百年先まで「毒」を撒いてしまった
・さらに人間だけが被害者とおもったら大間違い。いきとしいけるもの全部絶滅しかねない
・しかも、使用済み核燃料・プルトニュウムはいま手持ちで広島型3000発分かかえている
・未来に負の遺産が残らないように。とりあえず原発は全部止める運動を
・責任はすべての人にある
・けっして専門家まかせにしない
                                     (編集部の責任でまとめました)