障害者問題研究
  第48巻4号(通巻184号)

  
JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES
2021年2月25日発行 ISBN-984-4-88134-925-0 C3036 定価2750円(2500円+税)

特集 地域社会へのインクルージョンと暮らしの場


特集にあたって/中村尚子 本誌副編集委員長

座談会 暮らしの場に値する障害者施設をめざして
出席者 社会福祉法人みぬま福祉会 足立早苗・植村 勉・園部泰由・野崎壮一
司会 中村尚子(本誌編集委員)


デンマークとスウェーデンにみる障害のある人たちの住まいと暮らし
薗部 英夫
 全国障害者問題研究会副委員長・日本障害者協議会副代表
 平和と人権保障を基礎としたノーマライゼーションは、北欧・デンマークのバンク-ミケルセンが提唱し、スウェーデンや北米に広がり、1981年の国際障害者年を牽引、21世紀の障害者権利条約につながっている。日本ではノーマライゼーションは「脱施設化」として入所施設の解体が強調される傾向が強く、同年齢の市民と同等の生活条件をつくる、他の者との平等な住まい、暮らしの場をつくる方向での政策化が弱かった。本稿では、1993年以降、16度にわたる北欧の視察から、大規模入所施設のグループ住宅群への変容、地域のネットワークで支える小さな町のモデル、特別なケアのある多様なグループ住宅、そして高齢者住宅の近年の動向などの視点で、障害のある人びとの住まいと暮らしについて論じ、北欧におけるノーマライゼーションとインクルージョンの具現化の現実から、日本の現状と重ね合わせて考察した。


グループホーム制度30年と今後の課題
伊藤 成康
 きょうされん大阪支部グループホーム部会
 グループホーム制度30年を迎え、利用者数も入所施設を抜いた。障害者が地域で家庭的な生活を築く画期的な事業であったが、当初は安上がりで貧弱な制度設計で始まった。障害の重い人の利用は厳しかったが、関係者の行政への運動の積み重ねで制度も前進し、各地で実践を高め、重度の障害の人も含めた暮らしの場を目指して、着実に発展をしてきた。暮らしの場を必要とする人はますます増え、そのニーズを受け止めるとともに、障害者の豊かな暮らしの場としての支援の質を高めようとする関係者の努力も各地で進んでいる。グループホームは、今後、さらに地域ネットワークを構築し、職員の専門性を高め、誰もが安心して暮らせる場として発展させなければならない。より障害の重い人、医療的ケアや強度行動障害の人も、高齢化しても安心して暮らせる場に向けた制度設計が求められる。


【手記】
サポートを受けながら私らしく暮らしたい

 社会福祉法人皆の郷グループホーム利用 相田あづさ
 きょうされん埼玉支部利用者部会WA会

【手記】
私にとってのインクルーシブな暮らしを考える

県営住宅居住 上野 耕一


報告
北の大地の仲間たち2020〜グループホーム編〜

北村 典幸
 旭川大学/社会福祉法人あかしあ労働福祉センター(北海道・旭川市)

報告
多様な家族の形態を支える

川瀬加代子・菅原裕子
 麦の芽福祉会(鹿児島県)

運動
親のねがいと「全国障害児者の暮らしを考える会」の結成、運動の経過
播本 裕子
 全国障害児者の暮らしの場を考える会



連載/実践に学ぶ
生徒と楽しむ理科実験

吉村 邦造
 群馬・特別支援学校中学部

【吉村実践に学ぶ】 自然の不思議さに迫り,文化や科学の面白さに迫る
品川文雄 特定非営利活動法人発達保障研究センター


コロナ禍における学生の健康と生活と学習の危機に、障がい学生支援室はどう向き合えばよいのか
龍谷大学 障がい学生支援室
支援コーディネーター 瀧本美子

【瀧本実践に学ぶ】 学生の苦しみ,悩みに心を寄せる
社会福祉法人いたみ杉の子発達支援連携室
芦屋大学特任准教授
神戸大学・学ぶ楽しみ発見プログラムコーディネーター
 河南 勝


連載/ワイドアングル
学校図書館における特別なニーズへの対応をめぐる現状と展望

野口 武悟
 専修大学文学部


原著論文
二分脊椎症児の母親のソーシャル・キャピタル醸成プロセス

古城 恵子
 帝京短期大学生活科学科

障害者問題研究2020年度(第48巻)総目次


48巻4号 紹介チラシ(PDF)

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