陽はまた昇る<8>
自分の居場所



ケイタイ電話のauの冊子に載っていた500サンプルの資料から。
「子どもに習い事をさせている」 はい=78.3%
 (@学習塾=41.2%、A音楽教室=19.6%、B英会話、英語教室=14%)
「習い事から帰ってくる時間は?」
 22時以降=14.6%、21:30〜22時=14.6%、21時〜21:30=11.2%

つまり、合計すると4割の子どもたちは帰宅するのが夜の9時過ぎというのだ。
インターネットを使っての都市型のサンプル調査とはいえ、マジカよ!ほんとに!?

でもたしかに夜遅くの電車に、塾のマークのついたリュックをかつぎ、カップ麺を食べたり、ゲームしている子どもたちをけっこう見かける。

 ◆  ◆

子どもたちの歓声が聞こえてきた。
彼ら(彼女ら)は、ホッケーをしている。
 ホッケーする子どもたち
「普通の冬ならば、大好きなアイスホッケーなんですよ。今年は雪がないから」
職員のニッコ・カイワラさん(32歳)が言った。

「タニバラ青少年の家」は、ヘルシンキから北へ5キロ、まわりは郊外の一戸建ての住宅地で、木が多い。昔は酪農をしていた地域なのだそうだ。

フィンランドでは、3歳から12歳までは音楽教室や絵画教室、スポーツクラブなどで放課後の生活を保護している。この青少年の家は、10歳から18歳が対象だ。
バックアップしているのはヘルシンキ市の青少年局。市内には13の拠点があって、その下に3、4の「家」や「場」が53あるという。

「いつも開けて利用できます」「徘徊している若者たちの調査やそうした青年たちがここでの活動に参加することもありますよ」

このタニバラ青少年の家は、11時半から16時半まで利用でき、利用者は55名、青年たちは平均3時間ここで過ごす(うち1時間は指導者のいる活動に参加)。
「こない子はほとんどいませんねえ」

そして、16時半〜21時(最長22時45分)は青年部の活動がはじまる。親の帰りが遅いときなど、そこに夕方利用の子どもが参加することも可能なのだそうだ。

大事にしていることは?の問いに、「子どもたちの自主性、自治です」。
「ソファが欲しい」の要望には、その希望するグループが知恵を出しあう。大工になった先輩がわくを作り、素材は、色は、資金はと自分たちで決めて、バザーなどで資金もあつめる(市からの補助も少し後ででるようだが)。

小学校の1、2年は毎日来る。それぞれの学校からは、ここまで歩いて5〜10分。
学校からこの青少年の家までの移動の責任は学校側にある。
この「家」には、親に引き渡すまでの責任がある。

「冬はすぐ暗くなりますよね」と聞くと、
「秋から冬は、親が迎えに来る子もいます。障害のある子や遠くの他地域から来ている子はタクシーで帰ることもあります。タクシー代はもちろん市の負担です。それ以外は歩いて帰ります」

 ◆  ◆
 
『ほしのふるまち』(原英則、小学館)というマンガが店頭に並んでいる。「世界でいちばん優しい”再生”ラブストーリー」。年末に帰省した富山で見つけて、出ている3巻は全部読んだ。

主人公の高3男子は東京の有名私立高校で落ちこぼれ、家族からは世間体を気にされ、富山県氷見市の県立高校に転校する。寒ブリで有名な富山湾に面した静かな星のふるような町で、淡い恋心と友情によって必要とされる自分の居場所をさがしあてていく。

いまどきの高校生に、こういう純なマンガが売れるんだ、と妙に嬉しいような気もするのだけれど、やっぱ、日本の教育と子どもたちの状況は異常の域をこえてしまったようだ。このマンガもその反映なのだろう。

首都圏では6人に1人は中学受験しているのだそうだ。受験だ、受験だ、どんどんそれは加速している。有名私学の小学校も大繁盛だ。
だから、受験のためなら世界史も習わなくったて、教えなくったっていいじゃない。
そんなこともつい最近の大きな事件のはずだが、もう遠い昔のことみたい。

あれほど議論してはじめたはずの「学校5日制」も、もう私学では土曜日は授業してるし、見直しちゃったら、、、??

フィンランドでは、高校受験もなければ大学受験もない。あるのは大学進学資格試験だけ。これは春と秋に実施されるそうだが、3回挑戦できる。
大学進学率は約40%。大学は7、8年かかって卒業することが多いそうだ。

 帽子屋さん
 ▲ヘルシンキ・ハカニエミ市場の帽子屋さん
   
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