<有事法制に反対する声明>

障害者は平和でなければ生きられない

 戦争と障害者のしあわせとは絶対に両立しません。今国会で強行されようとしている「有事法制」を、私たちはどうしても許すことはできません。

 法案は、世界中いたるところでのアメリカの戦争に自衛隊を参戦させるものです。内閣総理大臣にすべての権限を集中させ、地方自治体、民間企業、障害者を含む一般市民にまで戦争協力を強要します。そして、その戦争協力を拒むならば、犯罪者にされてしまうというもので、これは私たちのすすめている自主的、民主的な研究運動さえもできなくなる恐るべき法案です。さらに重大なことは、こうした憲法違反の法案に対して、政府はまともな説明をすることなく、一気に強行しようとしているのです。

 私たちは、昨年9月のテロに対するアメリカのアフガニスタンへの報復を危惧し、法と理性の力による平和的解決を強く求めました。障害発生のもっとも大きな原因は、戦争による暴力だったからです。しかし、大規模な軍事力による報復はいまも続けられており、世界は不安のなかにあります。ところが小泉内閣は、アメリカの軍事報復を支援するために、自衛隊を海外派兵しました。この度の法案が通るならば、いつでも自衛隊を海外派兵するだけでなく、武力行使をも際限なく広げることができるようになります。

 戦前、天皇制国家のもと、障害者は「穀つぶし」「非国民」と蔑まれ、差別され、抑圧されてきました。日本国憲法は国民主権、基本的人権、恒久平和を大きな柱としています。戦争と軍事国家への厳しい反省のもとに獲得された世界に誇るべきものです。障害者の社会への「完全参加と平等」をアピールした国際障害者年は、世界平和の強化も強調しました。戦争のない平和な世界がどうしても必要です。私たちは、平和と民主主義を願うすべての国民とともに、この「有事法制」に断固として反対します。


 2002年5月30日
 全国障害者問題研究会常任全国委員会

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