8人のママからのメッセージ
    ~子どもと私と療育と~

 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会
 
定価 本体1000円+税 ISBN978-4-88134-215-2 C3036  2013.11.30
  
表紙

目次

はじめに  白石正久(龍谷大学)

第1章  療育を知るための1・2・3 池添素(福祉広場)

第2章  ママからのメッセージ
  子どもの行動の内側にある理由/木原和代(鹿児島)
      よりよい療育・保育・教育をともにめざして:大迫より子(鹿児島子ども療育センター)

  二葉園と出会って「お兄ちゃん」になった息子/山﨑希準(広島)
      葛藤しながら前に進んでいく姿に励まされて:塩見陽子(二葉園)

  医療的ケアがあっても毎日遊びが待っている園/角野美雪(広島)
      人とつながりあうことの大切さ:坂本美帆(二葉園)

  息子と私の大切な居場所/坂口理絵(兵庫)
      明日が楽しみになる療育を:小林晴美(全障研兵庫支部)

  見えないけれど広がる世界/松本三貴子(京都)
      必要な人に必要な情報を:髙橋弥生(京都ライトハウス・視覚支援あいあい教室)

  ゆっくりと納得しながら成長する娘/佐久間美幸(京都)
      「自分が大好きな子に」というねがいに応えるために:芦田幸子(パーチェ)

  人と関わりながら生きる力を育む療育/東川しのぶ(大阪)
      強い思いに共感して:山下綾子(あかつき・ひばり園)

  療育に通って友だちと遊ぶ日がくるとは/泉 朋子(愛知)
      子どものために必要なことは譲れない:岩橋友美(発達センターあつた)

第3章  これからの地域療育の課題 近藤直子(日本福祉大学)

あとがき 私たちの声をとどけよう  中村尚子(立正大学)
        ■

●ママのメッセージが「療育の質」に迫る
  池添 素(NPO法人福祉広場、全障研副委員長) 
  いけぞえ もと
 「療育って何?」と、お母さんからよく聞かれます。わが子の育てにくさに悩んだり、障害があるかもしれないと不安な日々を送ったりしているときに、保健センターや保育所などから「療育に通ってみたら」と言われても、一体どんなことをするのかわからず、最初は不安でいっぱいだったと話されます。「子どものためになるのだったら」と意を決して通園の門をくぐっても、想像していたような「訓練」や「治療」もない。
 本書に登場するママは、子どもの障害も住んでいる地域もさまざまですが、共通して、療育の場での子どもの笑顔と育ちに確信をもったというメッセージを発信しています。
 また療育を通して、子どもだけでなく、ママとしても大きく変化していく自分の気持ちも率直に語っています。同じ悩みをもつ親との出会いや療育スタッフの支えが、一人ぼっちではない子育てとなっていくのも療育との出会いがあったからです。
 2012年4月から、障害乳幼児の療育システムが大幅に変更されました。「療育」と銘打ったスキルのための個別訓練や、「付き添いの負担はありません」といった言葉で呼び込んでいる事業所が各地にたくさんできています。大人の相談支援事業と同じように「セルフプラン」「親御さんの希望が第一」というような仕組みも導入されようとしています。
 本書では、乳幼児健診や育ちが気になる時期から、自治体が責任をもって療育につないでいく支援システムの大切さも、一人ひとりの体験から明らかにされています。
 不安な子育て期を支える仕組みと療育の場がしっかりと連携し、全国のどの地域でも子どものゆたかな発達を保障する療育と出会えるシステムが求められています。国や自治体で障害児支援に携わる方々にも読んでいただき、ママたちのメッセージが届くことを心から願っています。
  

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