発達保障論の到達と論点
 

  越野和之+全障研研究推進委員会編

   定価3000円+税  ISBN978-4-88134-735-5 C3000  2018.11.1

目 次

刊行にあたって/越野和之(全国障害者問題研究会全国委員長)

第1章 発達保障とは何か/荒川 智(茨城大学)
はじめに
1 発達保障の基本的な共通理念
(1)発達の道筋と無限の可能性
(2)内面の発達と訓練主義批判
(3)発達の三つの系
2 全人格的発達の保障を目指した取り組み
(1)権利としての障害児教育と子ども理解
(2)乳幼児期、青年・成人期の実践
(3)要素主義的子ども把握の問題点と内面の把握
(4)発達・障害・生活の視点
3 発達保障の新たな展望
(1)ディベロプメントとケイパビリティ・アプローチ
(2)貧困理論、正義論との接点
(3)構成としての正義からケイパビリティ・アプローチへ
(4)ケイパビリティ・アプローチが克服すべき課題
(5)貧困理論との接点と問題点
おわりに――改めて発達保障とは

第2章 発達保障は人間の発達をどう理解するか

発達認識/河原紀子(共立女子大学)
はじめに
1 発達の規定要因
 (1)遺伝か環境か――生物学的要因と環境要因
 (2)発達における主体――自己規定因
 (3)発達保障論の視点から
2 発達の連続性と非連続性
 (1)発達段階説
 (2)発達段階説への批判
 (3)発達保障論の視点から

発達と教育/白石正久(龍谷大学)
はじめに
1 発達と実践
 (1)実践の主体と「働きかけるものが働きかけられる」
 (2)「発達要求」とはなにか
2 発達の原動力を子どもの内部に見い出す
 (1)発達の原動力としての内部矛盾
 (2)「外的原因は内的諸条件を介して作用する」
3 子どもは発達によって教材をどう取り入れるか
 (1)発達の過程と教育課程
 (2)子どもが発達と教材によってつくる「単位」
 (3)子どもと教材を媒介する教育的指導の役割
 (4)感情の発達と生活の歴史
 (5)子どもが発達によって形成する人間関係・集団
おわりに

第3章 発達保障論は人間の「障害(disability)」をどのように理解しようとしてきたか
     ――全障研の結成10年目までの議論に焦点をあてて/木全和巳(日本福祉大学)
1 問題意識
2 目的と方法
3 権利条約と「障害」の概念
4 ICFの「障害」理解の枠組み
5 全障研結成時(一九六七)の「規約」「基調報告」の議論と「障害」概念
 (1)権利の主体に対する認識・「心身」のとらえ方
 (2)被障害者という表現――当事者主体の視点
 (3)当事者主体の人権保障
 (4)名称変更――原案承認へ
6 『「発達保障論」の成果と課題』(一九七八)の中の「障害」概念
 (1)冊子の「発達論・障害論」
 (2)田中昌人の「障害」概念から
 (3)「障害観」に関する記述の検討
 (4)各テーゼの検討
7 結 論
8 おわりに

第4章 発達保障論における教育実践の構想/越野和之(奈良教育大学)
はじめに
1 発達保障論における教育実践の位置
 (1)「実践の中から育ててきた理論を実践へ」
 (2)「理論」を発展させる不可欠の契機
2 教育実践における子ども理解
 (1)子ども理解における分析的アプローチ――「障害・発達・生活」
 (2)分析的データを総合するキー概念
3 子どもたちに豊かな文化との出会いに満ちた生活を
 (1)「すべての子どもに教科を」
 (2)教科教育をめぐる論争
 (3)教科教育論争から何を引き取るか
4 まとめに代えて――教育実践の担い手をめぐって

第5章 発達保障と「労働」/丸山啓史(京都教育大学)
はじめに
1 労働と発達
 (1)人間の発達にとっての労働の役割
 (2)労働と結びついた発達
 (3)「労働と発達」を問う意義
2 労働を通した発達
 (1)障害者に仕事を合わせる
 (2)労働の目的意識性
 (3)労働と集団
3 労働の場における発達
 (1)労働の場にある発達の契機
 (2)労働以外の活動がもつ意義
 (3)学習や文化活動の取り組み
4 労働を問い直す
 (1)労働の概念
 (2)労働への批判
 (3)「労働の喜び」への懐疑
 (4)労働の位置の再考
 (5)自由時間の重視
おわりに

第6章 発達保障論における社会形成の原理とその論点/河合隆平(金沢大学)
はじめに
1 発達保障論における社会形成の原理
 (1)発達要求から社会的要求をつくり変える
 (2)社会形成・変革の主体と「ヨコへの発達」
 (3)「人間の尊厳」にねざして「生存=発達権」を鍛えあげる
2 発達保障実践による「外部」の創出と社会形成の展望
 (1)市場価値の「外部」をつくり出す
 (2)「共同決定」としての「自己決定」
 (3)「人間的な技」を含んだ発達保障実践
 (4)「場所のもつ力」と関係・つながりの構築
 (5)集団を記述する方法論
3 家族の発達保障とノーマライゼーション
 (1)家族の発達保障
 (2)家族のノーマライゼーションを具体化する
4 発達保障の歴史認識と叙述をめぐる課題
おわりに


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