障害者問題研究 第50巻4号(通巻192号)

JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES
2023年2月25日発行 ISBN-984-4-88134-076-9 C3037 定価2750円(2500円+税)

特集 子どもの発達保障と遊び


特集にあたって/川地亜弥子 神戸大学


子どもの発達保障と遊び
服部敬子
京都府立大学公共政策学部
 すべての子どもの生活において遊びが重要であることは,1959年の国連・子どもの権利宣言以来国際社会において認められてきたが,現在の日本社会は子どもに必要な遊びを保障できておらず発達への影響が危惧されている.遊びの独自性として「脱様式」と「対等性」に着目し,「対立を楽しむ」遊びへの参加過程について発達的な検討を行った.最後に安心して楽しく遊ぶ権利を保障するための制度上の課題を提起した.


表象の世界で遊ぶ2〜3歳児たち  ――その魅力と価値に着目して
瀬野由衣
愛知県立大学教育福祉学部
 本稿は,2〜3歳児の遊びの様子から,この時期の表象世界とその魅力について考察することを目的とした.まず,表象発達に関する本稿の視座を示したうえで,2歳から3歳にかけての表象の発達過程を二つの時期に区分し,実験や遊びの文脈において「状況へ融けこみやすい」2〜3歳時期の特徴を整理した.次に,実際に表象の世界で繋がりあう2〜3歳児の姿を,模倣や言葉を介した遊び,保育実践の事例に則して考察した.最後に,身体ぐるみで,言葉の肌触りの感覚として現れる2〜3歳時期の遊びが,①人間のコミュニケーションに与える示唆,②表象世界で遊ぶ楽しさと喜びが具体的な生活の中にある点に言及し,本稿の限界と課題について述べた.


保育における想像的探険遊びと子どもの発達
富田昌平
三重大学教育学部
 想像的探険遊びとは,お化けや鬼,河童,忍者など架空のものを「ごっこ」ではなく「本当」と信じて,それとのやりとりを楽しむ遊びを指す.本稿では,これらの遊びは目に見えない架空のものを意識して他者と共有できるようになる2歳半頃から楽しめるようになり,4歳半頃までは虚構と現実の区別がまだ十分でないため,保育者は楽しむうえで格別の配慮をする必要があることを指摘した.それ以降は,より虚構と現実とを区別し,真実を求めるようになり始めるが,その認識世界は虚構と現実とに単純に分かれているわけではなく,少なくとも8歳頃までは「めったにないけどもしかしたらありそうな世界」が中間領域として広がっており,ゆえに揺れ動きを存分に楽しめる時期であることを論じた.また,本物らしさを高めるうえで,他者の証言や物的証拠など遊び心のある仕掛けが重要な要素であることを指摘した.最後に,子どもの発達と保育における想像的探険遊びの意味について論じた.


集団遊びと幼児期の学び所属感からの検討
田中浩司
東京都立大学人文社会学部 准教授
 近年,楽しみながらの学び(playful pedagogy)の有効性を示すデータが積み上げられるなか,国内でも,接続期における遊びと学びとの関係を捉えることが,実践,研究両面での重要な課題となっている.本研究は,所属感(sense of belonging)の観点から,保育の場で取り組まれる集団遊びを分析し,遊びを通した学びを捉える新しい視座を得ることを目的とした.3歳児クラスで行われたルール遊びと,5歳児クラスで行われた構成遊びの保育実践を分析した結果,所属感と関連し,①経験の多様性への気づき,②互いに必要な仲間として受け入れあう経験,③興味・関心を共有することによって生まれる安心感,という3つの要素が見出された.これらの結果は,協同性の育ちとの関連から考察された.


実践報告 保育園2歳児クラスの実践 ごみ収集車にあこがれて
市原こころ
静岡福祉会 こぐま保育園


実践報告 小学部肢体不自由クラスの【遊びの指導】 「先生,ちがう!」
浦嶋真由美
滋賀県立長浜養護学校


実践報告 放課後等デイサービスの実践 一人の世界から,「なかま」といる世界へ
小川諒裕
鹿児島県・麦の芽福祉会


連載/実践に学ぶ
【報告】小学校教師の実践 私の実践をつくりだしたもの
小学校教員 高橋翔吾

【高橋実践に学ぶ】 子どもたちと築く学び合う学級
茨城大学教育学部 荒川智


連載/実践に学ぶ
【報告】入所施設の高齢期の実践
Aさんの願いをさぐり暮らしを支える ――認知機能が低下した仲間の思いをくみ取り実現するために
障害者支援施設職員 清水千智

【清水実践に学ぶ】
Aさんらしい暮らしとは何かを問い続ける
滋賀大学教育学部 白石恵理子



連載/ワイドアングル 第20回
NIF (Needs and Ideas Forum)の取り組み
小野栄一 国立障害者リハビリテーションセンター研究所前所長・研究所顧問
井上 淳 東京電機大学工学部



動向
通級による指導の現状と論点 ――文部科学省「通級による指導実施状況調査」の検討
越野和之 奈良教育大学


第50巻総目次


本誌「読む会」のお知らせ  
本誌紹介チラシ(PDF) 

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