障害者問題研究51巻4号 特集=子どもの食と発達保障/読む会4.12

「障害者問題研究」51巻4号

 


JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES
2024年2月25日発行 ISBN-984-4-88134-156-8 C3037 定価2750円(本体2500円+税)
特集 子どもの食と発達保障


特集にあたって/楠 凡之(北九州市立大学)


子どもの食と発達保障/河原 紀子(共立女子大学家政学部)
 本稿では,はじめに子どもの食の発達に関する国内外の動向を概観し,乳幼児期の食行動の中でも,好き嫌いの特徴とその発達的変化に焦点を当てて検討した.次に,好き嫌いとの関連で新奇性恐怖と味覚について考察し,さらに食事場面でのやりとりに見られる自我の特徴について発達的に検討した.最後に,子どもの食の発達を保障する課題について
の提案を試みた.


発達障害等の発達特性を有する子どもの食の困難と発達支援/田部 絢子(金沢大学人間社会研究域学校教育系)・髙橋 智(日本大学文理学部教育学科)
 本稿では発達障害等の発達特性を有する子どもの食の困難の動向と発達支援のあり方を検討してきた.第一に,食物選択性(偏食)の背景にある発達障害当事者が抱える「不安・緊張・恐怖・ストレス」等を丁寧に検討し,食における「安心・安全・信頼」を構築していくことが不可欠である.第二に,食の困難を有する発達障害当事者がどのような支援を求めているのかについて,丁寧に傾聴することが最適なアプローチになる.第三に,食の困難を抱える当事者・保護者・家庭を孤立させずにエンパワメントしながら支えていくシステムの構築である.具体的には,子どもの食の困難と発達支援に関わる管理栄養士,栄養教諭,保健師,小児科医師,歯科医師,歯科衛生士,言語聴覚士,教師,保育士等の専門家が協働していく発達支援システムの構築が不可欠である.


食べる機能の障害とハビリテーション/田村 文誉・水上 美樹(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)
 ヒトは生まれるとすぐに哺乳機能によって栄養を摂取する.その後大脳の発達とともに摂食機能を獲得していく.障害児では食べる機能に遅れや障害があることも多く,摂食指導が必要となる.小児の摂食嚥下障害は,成人とは異なりハビリテーションの考え方が重要となる.障害児では感覚過敏があることも多く,感覚の異常は食べる機能に影響を及ぼす.摂食嚥下機能の評価では,外部観察評価が重要である.評価に基づき行われる摂食指導では,食環境指導,食内容指導,摂食機能訓練を行う.食べることは個別性が大きく,個人個人に応じた支援が重要である.


実践報告
乳幼児期の食とコミュニケーションの実際/宮田 隆子(京都府・社会福祉法人樹々福祉会 朱い実保育園 管理栄養士)


実践報告
摂食嚥下障害のある子どもの「おいしい」を地域で支える 通所支援事業所での取り組み/大髙 美和(東京都日野市・NPO法人ゆめのめ理事長・管理栄養士)


実践報告
信頼関係の大切さを教えてくれたシゲ子/三輪 容子(福岡県・特別支援学校)


報告
発達障がいの子どもを育てるということはこだわりと偏りのハーモニー/土崎 幸恵(東京都東村山市・NPO法人すくすくはあと理事、保護者)


連載/実践に学ぶ
【報告】病弱特別支援学校の実践 「やりたい」を力に/金澤 園子(神奈川県・病弱特別支援学校)

【金澤実践に学ぶ】
入院中の子どもの自分づくりを支える 学びと人と関わる力をゆたかに/猪狩恵美子


連載/実践に学ぶ
【報告】児童発達支援センターの実践 「田んぼ活動」で仲間と共に育つ子どもたち/岩松 まきえ(鹿児島県・社会福祉法人麦の芽福祉会 むぎのめ子ども発達支援センターりんく)

【岩松実践に学ぶ】
なかまと共に,期待を育む生活の創造/細渕 富夫(まつもと幼稚園)


連載/ワイドアングル 第24回
社会保障と居住権 公平の理念からみる障害者にとっての選択肢佐藤 和宏(高崎経済大学地域政策学部


動向
小児がん等の難病により入院中の子どもの教育に関する国の動向と当事者団体の要望 入院中の高校生の教育保障の問題を中心に/栗山 宣夫(育成短期大学)


第51巻総目次


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▶ 「読む会」情報 2024年4月12日(金)19時~21時 /ZOOM
話題提供
 子どもの食と発達保障 河原紀子さん(共立女子大学)
 嚥下障害のある子どもの「おいしい」を地域で支える 大髙美和さん(NPO法人ゆめのめ)
参加者の意見交流
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2024年03月29日